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物書きの会

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断片小説

短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。

そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?

それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!

2007年09月21日 16:46  by 石瀬醒

コメント一覧 252件中、141~150件表示

  • 溺れる

    「あっ、あっ…]
    「助けて」と叫んだつもりだが言葉にならない。
    夏の海で泳いでいて、今まさに溺れているさなか。
    おかのほうでは、おばちゃんたちが世間話に夢中になって全く気がつかない…。

    小学2年生の夏休みの終り間近、空は高く遠く晴れわたっていた。
    耳元を風が夏の賑わいをさらって逃げていく。
    静かに打ち寄せる凪の波は息継ぎの邪魔をしない。
    だから、浮き輪無しで泳げるようになりたくて焦っていた私は
    発泡スチロールの板を手に、懸命に練習していた。

    足の届く範囲で泳ぎ、慣れてから、板から片手をほんの少し離してみると浮く。
    泳げると確信できたが、かすかに不安を覚え、心配になって立とうとするが底が無い!
    夢中になって深いところまできたのに気がつかなかったのだ。
    深いところの冷たい水流に足が触れた瞬間、恐怖がこみ上げてパニックになる。
    「ダメだ沈んでいく。」そう暗示にかかってしまった。さっき浮くのを確かめたのに。
    ゴボゴボと顔が沈む。不気味に青い深淵。底に巨大な黒い影が潜んでるのが見えた。
    慌てて顔を水面に出し、バチャバチャともがき、叫ぶが声にならない。

    (早く、早く気がついてよ)
    時間が長く長く感じる。
    「あらっ、大変!」
    やっとおばちゃんが気がついて、溺れた私の手をつかみ、引き寄せ
    おかにひょいと運び介抱する。結構海水を飲んだらしくゲボッと出てきて驚いた。
    鼻に海水が入ってすごく痛い。
    そのうち皆が大騒ぎして、なんかバツが悪いし、恥ずかしい。
    家に何食わぬ顔をして帰ったが、しっかり母にばれているし。

    どうしてあの瞬間、自分を信じなかったんだろう。
    浮くのを信じて、体の余分な力を抜いたなら
    ふわりと浮いて自由に泳ぎまわれたのに。
    不安に押しつぶれそうになる度、あの夏のことを思い出して
    鼻の奥に鈍い痛みを覚える。

    2009年03月12日 20:44 by

  • さて、今夜の晩ご飯は何にしようかな

    欠伸しながら、冷蔵庫をあけたら
    むっとケモノ臭かった。

    なんだこれ?と鼻ひくつかせて
    冷蔵庫の奥をのぞいたら、
    中央の棚の奥に居た
    小さなタヌキと目が合った。

    タヌキは、ちょうど昨日の晩ご飯の残りである
    チキンのフライをウマウマと齧っている最中で、
    私と目が合うと、いそいそと“ごちそう”を手放して、
    丁寧に頭を下げると言った。

    ーーあぁどぉもぉ〜
    ーーご馳走になってますぅ〜
    ーーあ、齧りかけですがぁ〜
    ーーこれにて失礼いたしますぅ〜

    そういって、ぽぽんと宙返り、小さな煙になって消えた。

    ああ、もう。
    なんだってタヌキなんか・・・

    そう言えば冷蔵庫の消臭剤を切らしていたのが
    いけなかったのかなぁ。

    でも、こんなに冷蔵庫の中綺麗にしてるのに・・・
    なんで、タヌキなんか・・・


    いや、ほんとに。
    真剣に。


    マジで(笑

    2009年03月11日 17:08 by e_fyu

  • 「君は綺麗だよ」
    「うそばっかり」
    「綺麗だよ」
    「汚いですよ」
    「綺麗だよ、君の髪も眼も」
    「それだけ?」
    「手も足も心も」
    「それだけ」
    「多すぎて言えないんだよ」
    「うそばっかり」
    「うそじゃないんだって」

    2009年03月10日 18:37 by わかめのミルクセーキ

  • <頭痛の種あるいは冬虫夏草>





    ズキズキと頭が痛む。

    この頭の痛みというものは、なんというか
    身体の痛みの中でも格別だなぁと思う。
    格別といっちゃぁ語弊があるかもしれないが、
    何だか身体の他の部位が痛むよりも、
    何だかとても外的な痛みだと思うのだ。

    きっと気がつかない間に、
    人の体液だか脳みそだかを養分にして育つ
    異界の種を知らない間に植え付けられて
    ソレが芽を出して、根をはって
    ずくずくと育つせいで頭が痛むのだ。

    でも、その種が本当の植物として人間の身体から花を咲かせるのは
    しごく稀な事で、だからこんなに偏頭痛持ちが沢山居るのだ。

    そう、だから。
    たいていは幸運な頭痛。

    でも、たまに
    ごくまれに


    ほら

    2009年03月09日 22:27 by e_fyu





  • <ピアニストの手あるいはバイエルの十年>




    私は、ずっと
    白と黒の鍵盤の上で自由に音を操れたなら
    それは素敵な事だなぁと憧れていたのです。

    だけど哀しいかな私の指は、冷たい鍵盤の上では
    まるで思い通りに動く事はなくて
    それでも一所懸命に鍵盤の上で踊ってみようと
    それなりに努力して十年。

    それはちっとも叶いませんでした。

    「だから、貴方のような手は羨ましい。」

    僕の手をなぞり、唇をあてて
    愛おしそうにと表現するにはほど遠い声音で
    女はそう言った。

    でも僕は、産まれてからこのかた
    ピアノなんて触った事もないよ。

    そう言うと、女は白目がちの目で僕を見上げて
    握っていた僕の手の指を一本、憎々し気にかりりと噛んだ。



    2009年03月08日 11:43 by e_fyu

  • <乳母車“ベビーカー”>




    ひとつわからないのは、

    ぼくはべつにこのひとだとも
    このよにうまれたいとも、
    おもっていなかったってことなんです。

    おなかのなかは、居心地がいいだろうとかなんとか
    かってなこという輩もいるけども、ぼくにはちっとも
    居心地なんてよくなかったんですよ。

    このよに生まれでて、とにかくまぁ・・・
    驚くやらなんやら。
    なにせね、お腹はすくは、寒いは、暑いは・・・
    ちっともおもいどおりになんてなりゃしない。

    それにほら、みてくださいよぼくのははおや?
    ねぇ、ぼくなんかほったらかしで、
    ぴこぴこ携帯?っていうんですか
    あれずぅっとにやにやしてうちっぱなし。

    だきしめてまもって愛情を分けてくれるってのが
    母親だって、ぼくはまだ産まれる前に、某かで聞いた事が
    あるんですけどね。

    そんなことも、あれですね。
    きっとこの世では幻なんでしょう。

    あ、ぼくもね。
    こうして、今は小難しい事かんがえてますけどね。
    どうせこうして、自分の足の親指をしゃぶって居る間ね
    けろっとわすれちゃうことなんですよ。

    それっくらい、なんてゆうかもぅ
    にんげんとかよのなかとかじかんのながれとかね。
    どうでもいいくだらないことなんですよ。

    ま、でもアレですよ。
    こうしてあなたとお話し出来てたのしかったです
    それじゃ、また。
    こんどあえたときにでも。
    あえるかどうかも解りませんがね。


    隣り合った乳母車(ベビーカー)の中、じっと見つめ合っては
    ニコニコと微笑み合っていた、赤ん坊は、
    それぞれの母親の手によって、
    それぞれに人混みの中に消えて行った。

    二人が後に再会出来たかどうか、
    その時に、二人にお互いの記憶があったかどうか。
    それは確かめる術はない。







    2009年03月06日 17:49 by e_fyu


  • 目が覚めると、既に時計は午後になろうとしていた。
    ああ、昨晩は飲み過ぎたなと腫れた目をこすりつつ起き上がる。

    二日酔い・・・にはなっていなくて
    飲み過ぎはのみすぎだけれども、まぁいい酒だったんだと
    欠伸をしながら伸びをする。

    ぎしと背骨がなると、その音の中に微かに
    ちりん、と鈴の音が聞こえる。

    ああもう誰だよ、こんな悪戯したのは。
    シャワーを浴びる為に脱いだパジャマの下、
    背中に思い切り右手を伸ばし、背骨の中に指をいれると
    案の定そこにコロっとした異物感。

    そっとつまみ出せば、小さな鈴がひとつ。

    悪戯するにもほどがある。

    それにしても、また酒のおかげでうかうかと
    はしたない事をしたのかと、ほんの少し不安になった。

    でも、過ぎた事だ。
    まぁいいや。

    そうしてシャワーを浴びれば、空腹の胃袋がぐぅと鳴くのだった。




    2009年03月01日 14:31 by e_fyu

  •  体が重い。

     気付いたときにはそれしか考えていなかった。いつ目覚めたのかも分からない。いつの間にかそう思った。

     そして、目の前が暗い。ふとそう思った。今までおそらく意識がなかったのだから、それは当然かもしれない。だから、思い出 したかのように気がついた。

     とりあえず何かしようと思って、少しずつまぶたを持ちあげる。思った以上に重い。いや、そんなことは考えてなかった。

     まつげとまつげの間から見えた外の光は眩しくなかった。今まで暗かったのだからまぶしいと思ってもおかしくないのだが、そ んな感じはなかった。

     まぶたを開く。目を開ける。前を見る。

     見えたのは、もれるようにして降り注ぐ光と、木と木と木。

    「・・・・・・どこだ、ここ」

     目が覚めたらそこは、森でした。

    「シャレにならん・・・・・・」

     とりあえず、体が動かないのですが、どうしましょう。


    森林鏡界

    ――――――――――――――
    どうもっす。小竜龍美っす。
    お手が空いている方は、暇つぶしにでも見に来てくださいな。

    2009年02月26日 17:08 by 小桜 羽色(こざくら はいろ)

  •  彼は美味そうにビールを飲んで、コップの中身を半分迄減らした。ゴトリとした音を発てて、炬燵机の上にコップが置かれる。
    「そんな事よりもさ、ビール飲まないの?」
     乾杯、するんでしょう。彼は、そう言って私の目の前に置かれた缶ビールの淵を、コンコンと細長いゴツゴツとした指で小突いた 。

    ーーーーーー「2009」より抜粋ーーーーーー

    2009年02月05日 08:54 by


  •  痛い。

     痛い痛い。


    「痛いよ」
    「痛くしてあげてるんだけど」
    「・・・」

     彼女は何か、僕に恨みでもあるんじゃないだろうか。
     あー、マッサージされた肩が痛い。





     天川流星といいます。
     二次創作専門でも気持ちはオリジナルに近い人間です。

    2009年02月05日 02:21 by

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