断片小説
短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。
そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?
それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!
2007年09月21日 16:46 by 石瀬醒
【君はフィクション。】
「うそだ。君はまったくもって、すべてが嘘っぱちなのだ」
嘘だ嘘だ、と言われ続ければ
いつか本当の嘘になれるのでしょうか。
2009年01月15日 00:17 by とはねず
ワンシーン・ショッピングモールにて。
つと、視線が付きまとっていることに気づく。
女が動くと同時に、視線も移動。
ふ、と顔をあげると、男が遠くから女を見ている。
平凡な成りをした男。
しかし、その視線の鋭さ、色合いは――
「――!」
女は慄き、殺意を向け続ける男から逃げる。
その顔が強張り、紙のように白くなる。
殺される。
あいつに。
殺したはずのあいつに!
女の血の気のうせた唇から、陰鬱な呟きが途切れることなくこぼれ続けていた。
ご挨拶がてらに。MiNoRuです。
どうぞ、よろしく。
夜。
静まりかえった空気があたりに広がっている。風はなく、いつになく音がない。
書類を拡げたままの仕事机の椅子で、男はうたた寝をしていた。机の上に置いてある小さなランプの火が、男の顔に刻まれたしわ に影を落とし、白髪をオレンジ色に淡く照らしている。
かちゃり、と音を立ててドアノブが回り、扉が開いた。
「所長、」
少年がそこから男に声を掛けた。男はその声でビクリ、と体を震わせ、目をさました。その姿を見て、少年は申し訳なさそうに言 う。
「すいません、眠っていらしたのですか。しかし、そのままでは風邪を引いてしまいますよ」
「――、――――。――?」
「え?」
男の口から発せられたのは少年の知らない異国の言葉だった。戸惑って首をかしげる少年をみて、「ああ、そうだった」、と男は 目をこすりながら机の上の眼鏡に手を伸ばした。
「すまないね。昔の夢を見て・・・少し寝ぼけていたようだ。ああ、もうこんなに暗くなってしまったのか」
少年はほ、と息を吐き、扉を閉めながら部屋の中へ入った。
「暖炉、火つけますねそのランプでは少し暗すぎますから」
「ああ、お願いするよ」
男は暖炉に火をつける少年の背中を眺めた。思い出す。かつてここにいた、嘘吐きな彼を。
追憶する男を余所に、少年は笑い混じりに言う。
「所長、もう少し仕事の量を減らしてはいかがですか。僕だって此処に来てもう1年ですよ。仕事もだいぶ覚えましたし、役に立 てます。まあ、所長からみたらまだまだ半人前で頼りないかもしれませんが・・・」
「ははは、そうだなぁ・・・私も歳だからね・・・。うぅん・・・ここ最近は疲れるとすぐ眠くなってしまって駄目だ。しかし君 が居てくれるおかげでだいぶ気が楽だよ。お客さんをあまり待たせずにすむからね」
男がそういうと、少年は「そうですか」と嬉しそうに笑った。
神なんて居ても居なくても私は構わない。……私はただ神の存在こそが神だと信じているし、存在を信じて初めて神に成り立つ物だ と思う。
では、神は何? 存在でしょう?
存在そのものこそが神として成り立っているんだ。
赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤。
一面に赤。
赤、赤、赤、赤、赤、赤、赤。
水平線に沿って、赤。
赤以外に飾りつける物は何も無い。むしろ無いほうが『この世界』として良いのかもしれない。そのほうが私が此処に居るとい う存在意義を教えてくれるのだし。
でも私は信じているという事で飾り付けるのが大の苦手で、世界のあらゆる物を信じていなかった。信じるだけ損でしょう? なあんて思ってもいたし。
でもこの赤ならいつまでも信じる事ができる。それは私を裏切らない、期待の赤。期待の、赤の水平線。
赤、赤、赤、赤、神の赤。
赤、赤、赤、赤、赤、赤。
…………。
コミュ投下予定の深海恋愛小説が長大化したので、ちらっと
***********
甲板の横に、「だざい」がリフトアップされている。
僕達はその前に並ばされ、写真撮影が行われた。
新聞の共同配信と、幾つかの地方紙や学園の広報、総勢5台ほどのカメラが並ぶ。
彼らは「だざい」が降ろされるとそれぞれ別船に乗り移って帰ってしまう。10時間近くに及ぶ航行の間中待っているわけではな い。
撮影がすむと、それ以上のセレモニーは無かった。
江上教授が「じゃあ、がんばって」と僕達のそれぞれと握手を一度ずつし、僕達は吊られたままの「だざい」によじ登り、乗り込 んだ。
身をよじるようにして居住スペースにもぐり込むと、もう航行が終わるまで膝を伸ばすことは出来ない。
閉所の苦手な人にとっては地獄のような場所なのだろうが、僕は子供の頃作ったダンボールの秘密基地を思い出していた。
僕の右の隙間に、同じように身をくねらせて美崎先輩が滑り込んでくる。瞬間、かすかに甘い香りがした。
ハッチが閉められ、一瞬艇内が真っ暗になる。
すぐに薄暗い照明に目が慣れ、再び周囲が見えるようになったが、それは、さっきまでの風景と違った。
二人っきり。
ここは、外の世界と完全に隔絶された二人だけの空間。
互いの呼吸音が残響を生むような静寂の世界…。
「お二人さん、聞こえるか?」
ブツッ、というノイズを伴って通信が入った。
巨光丸の管制室からの有線通信だ。
「はい、計器電源OK、通信OKです」
美崎先輩が応じた。
深海艇からの音声と探査カメラ映像は、ケーブルを通じて母艦に送られる。
一見二人きりの世界に見えても、上でモニターしてる連中に音声は筒抜けなのだ。甘い囁きなど出来る訳ではない。
もっとも、そうでなくても僕に美崎先輩を口説く度胸などありはしないのだが。
「寺村君、どきどきするね」
イタズラっぽい口調で美崎先輩が言った。
僕は、その言葉を聞いて胸がどきどきした。先輩、皆が聞いてるのに!と変に気を回し、すぐに何等やましい意味無く言われた言 葉だと気付き、ひそかに赤面した。
「そうですね、は、初航海ですもんね」
「処女航海って言うのよ」
先輩が笑い、僕はさらに赤面した。
2008年12月30日 14:55 by 石瀬醒
「別に悲観論者じゃないよ。」
沈みかけた夕日を見上げて、彼女は言った。
「君はそう思ったかもしれないけどね、私自身は違うと思ってる。」
「…君があんまり悲観的なことばっかり言うからだよ。」
「何をもって悲観的だとか楽観的だとか決めるのかしらね。」
唐突な彼女の言葉に僕は何も返せなかった。
赤く染まっている大きなキャンバスを見たままの、何もつくらない表情の彼女に。
「黙らないでよ。怒ってるわけじゃないの。」
しばらく僕が黙ったままでいると、空から視線を外して僕を見た。
彼女は笑っている。それも楽しそうに笑っている。
「ただね、この世界のルールがわからないのよ。」
彼女は両手を広げて、空を見上げる。
「この世界って全てが決められてる訳でしょう。」
「決められてる、って。」
「例えば、あれ。あれは何って聞いたらみんな太陽だって言うわ。」
沈みかけている大きな丸を指差して、彼女は眉をしかめた。
確かに彼女が指差すものは太陽だ。
太陽だと呼ばれているものに違いはない。
「あれが太陽だなんて誰が決めたの。誰がそれでいいと受け入れたの。」
彼女の疑問は唐突で僕の理解を超えている。
あれが太陽じゃなかったら何だというんだ。
太陽と位置づけられているんだからそれでいいじゃないか。
「どうでもいいって顔ね。」
「だって、何が悪いんだよ。決められていないと僕達どうしようもないだろ。」
「知らない間に決まりきったこの世界のレールの上に乗せられてるのよ、私達。」
ぶち、と背の高い草をむしると無造作に投げ捨てる。
彼女は黒い瞳でそれを追って、地面につくまで視線を外さなかった。
「決められたレールなんて嫌いよ。それが私自身縛られてるものだとしても。」
黒い彼女の髪が吹き抜ける風になびいてとても綺麗だった。
***
サルベージした自分の文に手をくわえてみました^^
久々にお邪魔しました…!
2008年12月30日 00:28 by はちや
「ただいま」
「おかえりなさい」
「今日シチューでいいか」
「白菜入れて下さい」
「はいはい」
「美味いか」
「まあまあですね」
「で、だ」
「はい」
「お前誰だ」
「あなたこそ誰ですか」
2008年12月24日 14:26 by わかめのミルクセーキ
「きれいな夕焼けだな。」
「夕焼けの何がいいのですか?。」
・・・あんなことを言った、俺は馬鹿だ・・・。
因果魔術を算数で説明すれば、5+5=10だと教師(せかい)が生徒(まじゅつし)に説明すると5−5なら、5が二つ並んでいる から、という理由(いんが)で生徒は先生に答えは10だと自信を持って答える。
普通なら、先生は生徒に0であると教えなければならないのに、なぜかここで算数(しんらばんしょう)が折れてしまって、5− 5=10に成ってしまう。
そうなったら、もう先生は黙って花丸をあげるしかない。
2008年12月19日 22:35 by 榊原くじら
――真っ赤か、真っ赤か、真っ赤か、真っ赤か
暗い路地で響く嗤い声。
少年自身なぜ自分が嗤い続けているのか分からない。
ただ分かるのは、自分が壊れてしまったこと。
「僕は、僕は、壊れてるんだよ、あははははは」
ただ嗤い続ける。
でもそれを止める人は誰もいない。
少年は嗤い続ける。
傍には赤い涙を流した死体が転がっていた。
「可笑しいよ、可笑しすぎるよ、あはは」
空はだんだんと赤くなっていく。
少年の黒い瞳はじわじわと空の色に染まっていった。
「神様の、ばかや…ろ……」
すると少年の嗤い声は止まった。
そしてフラフラと一歩二歩歩いたかと思うと、バタリと倒れる。
埃が舞った。
少年の瞳は、空のように真っ赤になっていた。
――真っ赤か、真っ赤か、真っ赤か、真っ赤か
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