断片小説
短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。
そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?
それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!
2007年09月21日 16:46 by 石瀬醒
デューマは、少しよろめきながら立ち上がった。あんなにも激しい戦いであったのにもかかわらず、そのやや筋肉質の体には、傷ひ とつついていない。
先ほどまで、デューマの炎に焼かれていた悪魔は、もう完全にその存在を消していた。炭ほども残っていない。自らの炎も使っ て、自分を死へと導くであろう炎を加速させていたのだ。デューマはそれをみていた。
あいつは、自分という最強の存在と戦って死んだ。あいつには守るものなどなかった。ただ、戦いたかっただけだ。あいつは、 満足しただろう。
デューマはゆっくりと顔を上げると、我が名づけ子がいるであろう次の世界へ続く、大通りの方向を見つめた。まるで、そちら のほうを凝視していれば、あの子の姿が見れるとでも信じているように。
そのデューマの姿は、さきほどよろめいていたとは微塵も感じさせない。そんなことで、あの子の元へたどり着く時間を、延ば したくない、と思っているのが本音だろう。
「・・・ラリュース。」
魔界で数少ない守らなければならない規則。その中に入っている禁忌を自分は犯してしまった。
『人間の子に、名前をつけてはいけない。』
その禁忌を犯してまで名前をつけた子供。世界に変えても、守らなければならない子供。その何にも変えられない大切な子が、 あちらにいる。とてもつらい思いをしている。助けを、求めている。
行かなければ。
デューマは手を中に差し出し何事かつぶやくと、戦いの最中に飛んでいった大剣が、円をかきながら手中に戻ってきた。
魔力の消費が激しいが、かまわず悪魔の羽を出すと、デューマは大剣を手にしたまま飛び立った。
しばらくは、魔界の連中も手を出してはこないだろう。魔界のナンバー2と言われた男を倒したのだから。
向かうは、わが子の元へ。他のことなど、どうだっていい。
(長くなってしまいました。すいません・・・。もしかしたら、このお話をちゃんと書くかも。
2008年07月04日 18:16 by 小桜 羽色(こざくら はいろ)
ネクタイの正しい結び方が未だに分からない、と言ってあなたは笑った。
別に問題ないんじゃないですか、と僕はなるべくそっけなく聞こえるように答える。
問題ないんじゃないですか、夏になったら使わないんですし。
「そうだけどさぁ、何か嫌なんだよ、そういうの」
「じゃあ覚えたらいいじゃないですか、結び方」
聞こえていないはずがないのに、なぁに?とかわざとらしく聞き返すあなたに、いえ、別に、と答えて僕はため息をつく。
今日の部活はここまでにしよう、と言ったのにも関わらずあなたは鞄を背負う素振りすら見せないから、僕も帰りかねているって こと気付いてますか?
「いーなぁ、男子。僕も男になりたかったー」
あなたはおどけてそう言って、屈託のない感じで伸びをする。
よかったですよ、あなたが男だったら絶対勝てない気がするから。
なんて言ったら、少しは嬉しいと思ってくれますか?
きっとあなたは、「女なら勝てるって?」とか言ってシニカルに笑うんでしょうけど。
私達は、現実にシフトして生きる。
どんなに辛い事があったとしても、涙が枯れるまで泣いたとしても。
――現実から逃げることなど、決して赦されない。
青い街灯に照らされ、少年は傘も差さずに立ち尽くしていた。
中三の柚希よりも確実に年下であろう、小学生のようで、それでいて大人びた容姿。
近所で見たことの無い顔だ。
もとから白いのだろう頬が、青い街灯に照らされ、暗闇に不気味に浮かび上がる。
「僕と、契約する?」
……その少年は、悪魔。
<ブログ内に、なんとかまとめたものがあります>
爪先立ちのマリオネットがゆらりと動き出した。
見えないほどとても細く頑丈な糸に手も足も体もすべて動かせられて、口をカポカポ開いて、華麗なステップを踏みながら踊り だす。
「「はじめましてお嬢さん、ここははじめてかな?」」
耳に染み入るハーモニーの二重音声を奏でながら、マリオネットは右へ、左へ。
「「ここは夢と夢とそのまた夢の現実。迷い子の君はアリス、笑う僕は猫」」
マリオネットは糸で引っ張られて自分の顔の頬をにっと上げた。それからまたくるりと回って逆立ちをしてみる。
「「ここではすべてがあべこべさ。喋らない花、360°回転した家、音を出す口……さて。どれが現実で、どれが夢なのかは君 の手のうちだよ、アリス」」
真っ直ぐ立って片腕を腹に、もう片方の腕を背中にまわしてまるでどこぞの騎士か紳士のように頭を下げた。
「「夢が創(ハジ)まるよ」」
新月の夜。
月の出ない夜。
ひとつでは決して地を照らさない、小さくてたくさんの星達が支配する、静かで神秘的で、私の好きな夜。
何故好きなのかと問われても、答えられない。すべてを包み込むような、私が私であることを忘れさせてくれるような、あの雰 囲気が好きで好きでたまらないのだ――。
人間は愚かで、醜い。
――この世界で、誰が私達を責められるのだろう?
それでも、生きていれば何とかなると、私は言った。
美しい漆黒の世界は外界の明るいネオンの光を反射して七色に輝く。ただそれは、哀しいばかりに小さく弱い。その闇の支配する世 界には人間誰もが一度は憧れるであろう、“非現実”で溢れかえっている。
科学者たちの考え出した仮説も、何もかも通用しない世界。アーティフィシャルな世界よりも、感情のない空気が渦巻き、捉え られた途端もう一生外界へとは戻る事ができないだろう。
それにも関わらず、その世界を行き来する特殊な者達も実際にいる。
そんな解くことのできないパラドックスは決して「普通」ならば体感する事はないだろう。
尤も生暖かい風の吹く気の緩みそうな夜には――……
<続きはなんとか執筆中。某文学系の賞に投稿予定――が、未だ真ん中が定まらず>
2008年06月03日 21:39 by ふーが
――それでは、お願いします
大宮 はい、よろしくお願いします。
――まず、確認的な質問を数点させていただきます。
大宮 わかりました。
――なぜ、このような局を作ろうとお考えになったのですか?
大宮 はい、昨今のテレビというメディアは、娯楽性というものを求め過ぎているように感じたのです。もちろんそれがテレビの 本質であるとするのは大いに結構です。しかし、こう、視聴者の知的好奇心を刺激するような番組、そういうものばかりを放送する局 があってもいいのではないかと考えたんです。
――その番組とは、具体的にどのようなものでしょうか
大宮 まず、ニュースでしょうか。私どものニュースは、主に最近あった出来事をピックアップして、そのことについて我々が選 んだコメンテーターに議論していただきます。その日にあったことは、他の局の方に任せられるというのが、地方局の強みですかね( 笑)。ですから一般的なニュースの放送される時間から、少しずらして(主に遅らせて)放送しています。こうすることでその日起こ った事件の裏側や、多局では語り尽くせなかったことを知ることができるというわけです。
次に、特徴的なものとして、最新歴史、という番組があります。タイトル通り歴史をめぐる番組なのですが、ここでは数々の歴史 研究の第一人者を招きながら、ごく最近に発表された新たな歴史を紹介していきます。番組の感想を見たなかで意外だったのは、高校 の教員からのものでした。生徒に番組であったような話をすると、興味を持って聞いてくれるというのです。それで歴史が好きになっ た生徒もいたようです。私どもの作った番組がそんな風に影響しているのだと思うと、震えましたね。
時間の都合上紹介できませんが、このほかにも様々な番組があります。評論、自然、最新機器の講座や、最近は無名作家の小説を アニメ化するという荒業もやっています。
ここまで書いて、お蔵入りにしました。題材はおもしろそうだったので、また続きを書くかも知れません。それでは、本家の小説 の方もよろしくお願いします。ぺこり
僕は嘘の話を書いている。
それはFC2ブログでは断片小説と呼ばれている。
何度か投稿した。
少し嘘の混じったほぼ本当の話。
だから嘘の話。
今日は100%本当の話をしようと思って、タイトルを『三角公園の場合』にした。
僕には二人の叔父がいた。今は一人しかいない。
僕には両親がいた。今は一人しかいない。
どうして一人ずつ減ってしまったかというと、自殺してしまったからだ。
<ブログに続きを書いてます>
宇宙機の客室は、廊下を真ん中に挟んで左右に座席が5つずつ、20列にわたって並んでいる。
客室の端にある壁の真ん中には、コクピットにつながるドア。そしてドアの横には、今はもう誰も見ていないニュース番組を映し ている大型スクリーンがあった。
「…次のニュースです。月のオルドリン州立美術館から、作者不明、約10万ドルの価値があるとされる絵画『夏への扉』が盗み 出された事件に関して、美術館に残されていた声明文が報道機関に公開されました。声明文には『ルパン七世参上』という内容が書か れており、太陽系刑事警察機構はここ数年ほど頻発している『ルパン七世による窃盗事件』に関連しているものと見て捜査を進めてい ます。ただし、ルパン七世選任捜査官である銭形捜査官は『盗み方が大雑把で、ルパンらしくない。違和感を感じる』とコメントして おり、独自の捜査を進めるとしています。では次の…」
「おー、噂のルパン七世ですか。警察の皆さんも振り回されて大変ですな」
居た。ニュースを見ている人物が居た。廊下沿いに座っている、黒のビジネススーツにメガネの真面目そうなビジネスマンだ。横 に居る、同じくビジネススーツとメガネの小柄な女性に話しかけているようだ。
女性は手にもった雑誌から目を離さずに答えた。
「そうですね。特にあの銭形さん…でしたっけ。毎回毎回ルパンが現れるたびに出動して、取り逃がして…大変ですよねえ」
ビジネスマンが伸びをしながら続ける。
「出世とか昇給とか、関心無いんですかね」
女性はふわあ、とアクビをして、
「無いんでしょうねー、『ルパン逮捕が生きがい』らしいですから」
と言った。
「なるほどね。うらやましいやら、そうでないやら」
<<ブログ復活しました。新作「ルパン七世」の一部です。もしよろしければ。>&g t;
<<ひさしの場合>>
目を背けてしまう。
最近、叔父の姿を見るのがツライのだ。
もう50をとうに過ぎた僕の母親の弟。
彼は独身で彼の母親と二人で暮らしている。
母親との二人暮しになって、もう三年くらいだろうか。
彼の兄が地元の小さな小さな橋から向こうに行ってから親子二人の暮らしが始まった。
<つづき、自分のとこに書いてます>
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