断片小説
短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。
そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?
それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!
2007年09月21日 16:46 by 石瀬醒
テレパスのレヴィは相変わらずのおしゃべりだ。
テレパスが15〜6歳を超えてなおかつ、正常な精神を持って成長できるのは、ひとえに僕ら能力者に対しての新薬のおかげなん だけれど。
副作用でこんなにプライドが高く饒舌な人間って、やっぱり人並みの枠から外れている。
彼女は生まれながらの強いテレパスで、3歳でその判断がついて収容されるまで、毎日狂ったように泣いていたという。
新薬より3つ前の試薬で狂い泣きはやんだらしいが、神がかってしまって一時は大変だったらしい。
マザーたちはレヴィの収容当時のことを口にするのを極端に嫌がる。
制御ピアスで思考を読めなくするから「らしい」までしか情報が得られないのが悔しいんだけど。
僕の能力はわずかながらのテレパスと過去知(リトロコグニション)。
黙っていればばれないと思っていたけど、僕らと僕らではない人種を分ける特殊なノーハ(脳波)がバチバチでていたらしい。
父親はあいにく失業中で、能力者一人を一生隔離して収容するために与えられる政府からの保証金に目がくらんで僕を捨てた。
母親は隠れ能力者だったけど、薬漬けにされるという噂や「一生隔離」ということから逃げ回っていて……結局僕を捨てた。
隠れ能力者は結構いるらしい。でもその半数はかなり若いころから精神的な異常をきたしていたり、犯罪を犯したり…で、上手く 育たない。
隠れていられるのは、その能力が低くて一般の生活にかろうじて適応できるか、もしくは高級官僚の子息令嬢。
(こいつらは新薬をこっそり裏ルートで手に入れてるらしい)能力が高いほど壊れやすく脆いんだそうで。
……んはぁっ!息が詰まるっ!!
つづきはたぶんないです^_^;アチコチ書き散らしてるものが片付いたらかな?
2008年02月06日 08:39 by きむろみ
今日も上手く終われそうにない。
めんどくさいな。
いつもそうだ。いつも何かが邪魔して
上手く明日に進めない。
地団太を踏んでいるうちにいつの間にか明日になっている。
今日と明日の境をはっきりさせたいのに。
いつだって綺麗に終われない。
悔しがっているうちに今日は終わり
焦っているうちに明日は過ぎる。
なんてめんどくさいんだ。
さぁて僕のいる意味なんてひとつもないこの世界を
ちゃんと消し去って明日に行こう。
*書き途中の小説の主人公の考えです。本編から抜粋。
本編を多分ブログにあげていくと思います。
2008年02月03日 21:04 by 奏
全能の創造者を仮定すると、宇宙の歴史について確定的なことは何もなくなってしまう。
この宇宙が、同位元素の崩壊の進んだ分子や地層の中に挟まった太古の生物の化石も含めて、ある時点で創造されていたとしても 、我々には確かめるすべが無いからだ。
例えばこの世界は、13秒前に作られたものかもしれない。
貴方には13秒前に自分が存在していたという確信があるだろうが、その記憶も含めて13秒前に作られていたのだとしたら、そ れを反証することは現在の貴方には出来ない。
この話を聞き始める前の貴方は、貴方の記憶とこの世界で仮定される物理法則から存在が推測される仮象に過ぎない。
神がこの世界を1秒ごとに、いや、1プランク時間ごとにすっかり滅ぼしては再生させていても、その世界が毎回全く異なったも ので、私達の生きている「この」世界はそのうちの一瞬の一つだったとしても、私達にはわからない。
もうこの世界は1秒以上続いてるって?
「今」、そう思っているだけだろう?
「僕には、君の議論そのものが証明も反証も不可能な仮定をもてあそんでいるだけの、幼稚な詭弁に聞こえるけど?」
黙って聞いていた佐藤が、槇村に言った。
「ある存在を仮定しなくても矛盾の無い系には、余分なものの存在を導入するべきではないのじゃないかな?」
「オッカムの剃刀だね」
槇村が、面白そうに笑みながら応える。
「オッカム自身は気付いてなかったかもしれないが、彼の剃刀で第一に切り捨てるべきは、今の議論からもわかるように、『神』 の存在そのものなんだよ」
2008年01月31日 09:55 by 石瀬醒
初めに言葉があった。
言葉は神と共にあった。
言葉は神であった。
この言葉は、初めに神と共にあった。
万物は言葉によって成った。
(ヨハネ福音書 2943年版)
「ロゴス!ロゴスだ!私はロゴスを見つけた!!ついに見つけた!ハッハアア!!」
見つけた、見つけたと言いながら、汚くなった白衣を身にまとった男が小躍りする。
私はそれをただ見ている。
男と私の目の前には小さな食卓と、そしてリンゴがひとつ。
リンゴはたった一秒前まで存在していなかった。
そして、それは存在するようになった。ロゴスによって。
しかし分からないのは、男にとってそれがなぜそんなに嬉しいのかということだ。
「んん?分からないという顔をしているなチャーールズ!」
男が私に近づいてきた。笑顔とメガネは脂まみれ、髪はぼさぼさの伸び放題だ。
「分からないか?ん?これがどういうことか!分からないんだな!」
男はリンゴを指し示しながらわめいた。
「宇宙が生まれる前に、そこに何があったか知っているかチャールズくん!」
私はしばらく考えたあと、
「何も無かったと思います」
と回等した。
「ブー!不正解!残念だよチャールズくん、それじゃあ僕の助手失格だぞ!」
男がどすどすとさらに近づいてきた。歯並びが悪い、と私は認識する。
「確かに何も無かった、常識的な意味では!だがあったんだ、存在していた!『神』と『言葉』が、そこにはあった!!」
両手を宙にかざし、しばらく男が静止する。神の気分になっているようだ。
私は聖書の一部、世界が創造される部分を思い出していた。たしかに、そのようなことが書かれていた。
「そして『神』は世界を創造した、『言葉』…すなわち神の言葉、『ロゴス』によって!」
その場でくるくると回りだす男。彼は頭の中で世界を創造したのだろう。
だが突然ぴたりと動きを止めると、悲しそうな顔で私をじっと見つめる。
「ああ、信じられないといった顔だなチャールズ」
男は残念そうに首を振る。
「それはそうだろう、私だって最初は信じなかった。世界がたった、たった五千年前に創造されただなんて」
話しながら、うろうろと私の前を行ったり来たりする。
続きます。続きはブログで。
「アナタハ誰?アナタハ誰?」
微妙に発音の違う声で話しかけてきたのは、籠の中にいた鳥だった。
主がいなくなってどれくらい経ったか知れぬ建物の中にそいつはいた。
俺が今いるのは荒れ放題の家。庭の雑草は生え放題。窓は壊れ、壁も亀裂が入っていた。
「アナタハ誰?アナタハ誰?」
錆びた鳥かごの中にいたのは真っ白いきれいな鳥だった。
俺はそいつのすぐ側まで寄って眺める。いつから此処にいたのだろう。
「アナタハ誰?アナタハ誰?」
こいつは俺の正体を知りたいらしい。答えてやれば静かになるだろうか。
「俺は―――」
鳥が首をかしげる。今になって気づいた。俺がその続きの言葉を持っていないことを。
「アナタハ、誰?」
また首をかしげる。俺は黙り込む。
俺は何も持っていない。
名前も、生きる意味も、帰る場所も。
「アナタハ――」
カシャンッ
籠の鍵を壊した。鳥は羽根をばたつかせ、飛んだ。
天井近くを飛び回り、俺のすぐそこまで来た。
「アリガ、トウ」
窓の外へ飛び立った。
月夜の下、俺は一人になった。
口の中へ生温くなったミルクを流し込んだ。
カップはほとんど冷えきっている。
舌で白い膜を絡めとりながら、静かな夜に耳をすませた。
夜だ、と感じられる時間になると静寂が主役となる。
真夜中に近くなればなるほど、それははっきりとしてくる。
不意に気づくのだ。
ひとりぼっちになった瞬間に。
うるさいニュースや、着飾った人が歌う番組。
誰かとの会話、帰宅する車、火にかけられた夕飯の煮える音。
すべてが過ぎ去って、あとは寝るだけになったその時間は静けさが支配する。
音のない世界は不愉快ではない。
ああ、でもなんだろう。
満たされないこの気持ちは。
こんなに静かで心地いい空間にいるのに、寂しいんだろうか。
僕は胸の奥からはいあがってくるこの感情の名前を知らなかった。
*日常生活にあるほんの一瞬の空しさみたいな。
2007年12月21日 23:35 by はちや
どうして置いていかれたんだろう。
母さんと父さんが僕を置いていったとき、そう思った。
あれは雪がしんしんと降る夜、身を引き裂きそうな冷たい風の吹く夜だった。
真っ黒の服に身を包んだ人達が、僕の家に入っていく。
どうして、僕の家に入っていくの?
疑問を口に出すことは出来ない。
口から漏れるものはどうしようもない喪失感と、不思議な声の嗚咽だけだった。
そのときだ、女の子が現れたんだ。
僕のあったことのない女の子。
僕よりも年上で、みんなと違って白い服を着ていた。
「世界はね、あんたを見捨てちゃいないよ。」
「あんたは、一人じゃないよ。」
「でもね、今はひとりぼっちだ。」
「だから、私とおいで。」
「私といれば、一人じゃない。」
「だから、私とおいで。」
僕は彼女について行った。随分歩いた。
足が疲れて動かなくなるまで
ずっと歩いた。
夕日が綺麗な堤防まで着たら、僕の足は本当に棒みたいになった。
全く動かない、能なしの足を引きずりながら、僕は早さを遅めない彼女の影を踏んだ。
追いつかない。
そう感じた直後、雪が降った。
空には綺麗な星があって、雪が光った。
「世界はね、あんたを見捨てちゃいないよ。」
「もう一度言うよ。」
「あんたを見捨てちゃいない。」
「だから、もうここでさよならだよ。」
「一人じゃないんでしょ?」
「だから、ここでさよならだよ。」
女の子はいなくなった。小走りで、真っ直ぐの道を駆け進んだ。
追いかけようと思ったけれど、無理だった。頭が重くて、瞼が閉じようとしていたから。
進めないもどかしさと、置いて行かれる寂しさと、動かない足への苛立ち。
でも、それより目だったのは満足感だった。
「どうして置いていくんだろう。」
彼女は、どうして僕を置いていったんだろう。
白いワンピースを見るたびに思い出す、彼女の悲しげな瞳を。
あの日の翌日、マンションの屋上から飛び降りた、白いワンピースの少女がいたという新聞を見ただなんて、もう忘れることにす る。
忘れることにする。
覚えていることは「どうして置いて行かれたんだろう」という
その疑問だけ。
2007年12月18日 16:35 by チルカ
暗闇しかない。
目の前に人がいたとしても顔が見えないぐらい、暗い。
そんな暗闇でぼうっと幻のように、それは現れた。
耳を澄ませば微かに聞こえるクスクスと笑う声。
「おやおや、ここに人が来るなんて珍しいね。
ドコから来たのかな?
ああ、そうだ。
ドコカの世界ではアリスっていう女の子の物語があるんだってね。
僕は君の名前を知らない。
僕は君がドコから来たのか知らない。
アリスの物語も周囲にはわからなかったよね?
だから僕は君をアリスって呼ぶことにするよ」
その声は男とも女とも取れない中性的なものだった。
声の主はつらつらと言葉を並べていく。
人の話を聞く気はないようだ。
「ああ、アリス。
ドコから来たのかわからないアリス。
君はここがドコだかわかってココに居るのかな?
わかっているなら君は無望。
わかってないなら君は無知」
よくここまで舌が回るものだと違う点で感心すれば声は狂ったように喋り続ける。
声はドコまでも続き、ドコまでも人の頭の中を引っ掻き回すようだ。
人を馬鹿にしたような態度は気に喰わない。
だが言ったところで無駄だろう。
私の口はもうそがれている。
私の唇は今そがれてしまった。
「ああ、落し物だよ、可愛いアリス。
喋れるかな?
喋れるよね?
だって舌はくっ付いてる。
痛みで口が開けないかもね。
ああでも僕は気にしないよ?
君が喋らなくても僕が喋り続けるから。
因みに舌を残したのはワザとだよ?
だってそうじゃないとキレイな悲鳴が聞こえない」
声はクスクス笑うだけだった。
そしてぼんやりとする私の頭に残るのも、クスクスと笑う声と、私の絶叫。
2007年12月10日 23:36 by †空羅†
綺麗だと思ったからそれを素直に伝えただけなのに。
古びた和紙を滑る指の言葉は少年をからかっているとしか思えなく、揶揄されるのは慣れていて何を言われても平気なハズなの にそれは今まで貰ったコトなど無い初めての言葉だったから、カッとなって思わずその場から姿を消した。――逃げたのだ。
きれい――だなんて。よくもそんな、戯言が。
ザザザザッ
走る。走る。野山を跳ぶように駆け抜けて、一番高い杉の木の枝まで辿り着いてからようやくそこで足を停める。
――びゃくやのおぐしとおめめは、とてもきれいですね。
桜色と言うより既に白に近い、細かな擦り跡が多く残る和紙に。そう告げた指は、少年の護衛対象である、雇い主の一人娘のモ ノ。
この白い髪が。この紅い眼が。一体どう見れば「綺麗」などと思うのか。あの姫は口が利けないだけだと思っていたが、どうや ら眼の方も悪いのではないか。それとも美的感覚がおかしいのではないか。一国一城を担う姫君ともあろう者が、そんな風で良いのか 。
今なら言いたいコトがたくさんあるのに、あの場ではそれすら言えずにその場から立ち去るだけで精一杯だった。あの黒々とし た髪に、ぬばたまの瞳を持つ姫に、異色を二つも持つ自分の辛さや苦労が判る訳が無い。まして彼女は自分と違い、蝶よ花よで育てら れている生粋の姫君だ。
血のようで不吉だと、幾度も眉を顰められた眼。老人のようだと、何度も嘲られた髪。
そのせいで陽の下に長時間も居られない。綺麗でも何でも無い、ただの厄介な色。
綺麗だと言われたのは初めてで、だから少し動転しただけ。――そうだ、それ以外に何も無い。あるハズが無い。
あの小さな姫の、素直なその言葉を心のどこかで嬉しく思っているかもしれない、なんて。そんな馬鹿なコト――あるハズが無 い。
2007年12月08日 17:17 by 久。
「知ってる?人って死ぬんだよ。」
男の子はナツにそう言うと、走り去っていった。
君は、「人が死ぬ」ということをはじめて知ったんだね。
ああ、知ってるよ。人が死ぬことぐらい・・・。
「さようなら。」そう言い残して、お母さんは私を置いて天国へ行ったんだよ。天国へ行くこと、それは人が死ぬこと。そうやっ て、私は人が死ぬことを覚えたんだよ、坊や。
君は、何故人が死ぬことを知っているの?見てしまったんだね、人が死ぬ瞬間を。悲しみの瞬間を。坊や、わかる?君の大切な人 が死んでしまったとき、心にぽっかり穴があかなかった?そこから隙間風が吹いて、違和感を感じなかった?痛いってわけでもないん だ、それを気持ちいを感じる人もいるんだって。私は痛くなんかなかった。ただ、何かにもてあそばれているかのように、身体がふわ ふわと浮かんで、不思議な気持ちだったんだよ。
人の死はね、生きている人間に、そんな感情を覚えさせるんだよ。
坊や、そこの幸せそうなカップルに聞いてごらんなさい。私に聞いたことを、そのまま。
そのカップルは当然という顔をしてこう言うんじゃないかしら。
「ああ、知ってるよ。」
でもね、本当は知らないんだよ、それは知識だけであって、本当の死は知らない。
人の死を知っている人間、知らない人間・・・、。
どっちが哀れなのかしらね。
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