断片小説
短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。
そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?
それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!
2007年09月21日 16:46 by 石瀬醒
「安西って、以外と杜撰なんだよ」
雨は笑う。
「検索かけて、プレイヤーリストの中に雨の名前がなければ簡単に、私のことをNPCだと思ってしまう」
「……本当に、そう思ってるのか?」
小野の問いに、雨は不思議そうに彼を見つめる。
「そりゃ一体どういう……」
「この、3年間。領地を一回も奪われたことがない安西がその程度の男だと?」
「――だって現に……」
小野は大きな溜息をつき、メニュー画面を開きマップを出す。
菱形に並ぶ、100の領地。小野はそこからエリア63――六原を拡大する。マップ上では、領主がいればその領地は青で名前 が表示される。いなければ白、そして領主無し、の文字。
そして、六原は
「安西龍鹿……」
赤い菱形の中に、そう表示されていた。
「彼は、馬鹿じゃない。自分が狙われていることにも気がつかないほど、愚かでもない。だからこそ、こんな奇想天外な作戦を考 えた。わざと、命を狙われやすくするために偽の弱点を垂れ流す。しかも、ただ垂れ流すのではなくて、わざと出所を細く、極限まで 引き絞って流させた。そのほうが、ようやく手に入れた安西の弱点っぽいだろう?」
「……」
「それだからこそ、君を僕のところに下賜したんだよ。僕は用心棒、君のような人物から安西を守るためにね」
「そんな」
「終わりだよ」
小野はそういって腰の剣を抜く。
「イヤっ、やめて」
「残念だけど、ムリ。安西さんとの契約はあと12分あるからね。もう少し、謎解きをガマンしてくれれば、僕もここまでしなく てよかったんだけど……」
小野は剣を振りかぶる。
咄嗟に、雨は目を閉じた。だから、彼女の死の風景は漆黒。
そして、一人消える。
2007年10月10日 07:29 by 榊原くじら
「なんだと!?」
まさみは左眉を吊り上げてマネージャーを睨めつけた。
「あんな、CMはこなせても主役の張れぬ小娘に何が出来る!」
「しかし、あのキョロキョロした目と微妙に揺れる首は他に居ない芸風ではありますし、なんと言っても、熱愛報道はおろか、セ クシー系の仕事も殆ど来ない健康的なイメージはスポンサーに安心感を与えます」
「何だ、お前相武ファンか?オレのこのニュアンスな眼差しと、やり過ぎないアヒル口も他には居ないだろうが!」
「いえ・・・それが・・・」
「なんだ」
「あの広末が復活の動きにございます」
まさみの顔色が変わった。
「なっ、ばっ、ひ、広末などもう終わっているではないか!おばちゃんだぞ、一児の母だぞ!」
「しかし、最近へそなど出しておりますし・・・何といっても、あちらは“本物”でございます」
「何のだよ!オレは別に不思議キャラとか、プッツンとかで勝負してねぇんだよ」
「過去にも、石原真理子と藤谷美和子並び立たずという・・・」
「オレはロスとか行かねぇよ!もういいよ、お前解雇!相武でも広末でも拾ってもらえよ!」
「まさみ様!」
「なんだ受付嬢!まさみ様まさみ様何回も言うな!回文なのが嬉しいみたいだろぉが!」
「ひ、広末様がお見えになりました」
「な、何だとぉ!?」
2007年10月09日 11:47 by 石瀬醒
ある時代、ミサンガをつけて旅する男がいました。
彼は、“人助け”を信念に生きていました。
そして、それを達成することで、ミサンガをほどいてました。
それでまた、旅先で困った人を見つけるとミサンガをつけて、その人の願いを叶えたら外す――。
それの繰り返しが彼の“生き甲斐”でした。ボロボロのミサンガは宝物でした。
ある日、男は小さい村に滞在しようと思いました。
不思議なことに、その村の人は全て遠からず血の繋がってる人でした。みんな幸せに暮らしていました。困っている人は一人もい ません。
人助けがいらない事と分かると、男は悩みました。
夜まで悩んだ彼は、眠らずずっと悩んでいました。こうして2日が経ちました。
3日経ったある日、ついに彼はミサンガをつけることができました。
狩りの途中、熊と遭遇して殺された人のお墓を作って欲しいと言うものでした。
男は半日かけてつくってあった墓石運びや、穴堀をこなして、立派なお墓ができあがりました。
村人みんなは、涙を流してお墓の前でお祈りをしました。死体は肩腕がちぎられていましたが、綺麗な白い肌をしていました。
それを背に、安心しミサンガを外した男はまた、旅へとでました。
男は道中、女の子に会いました。話を聞くと、女の子は狩人の娘でした。
「私を殺してください」
女の子は言いました。
彼はうなずくと、女の子を一刺ししました。女の子は悲鳴を堪え、少し安堵の笑みを浮かべると、血を流して息を引き取りました 。
男はその場でお墓を作って、彼女を埋めました。
男は泣きました。大粒の涙が大雑把なお墓の前を濡らします。
お墓には血が固まってる包丁2つと、黄ばんだ腕が添えられてました。
内容分かりにくいかもしれません…
ついでに長くてすいません^^;
夕食のスープを飲み干して一息つき、お茶を飲みながら家族と何気ない雑談を始める。
学校のこと。最近授業が分からなくなってきたこと。
友達のこと。学校で居眠りばかりしているクラスメートのこと。
親戚のこと。叔父さんの家に次男が生まれたこと。
一通り話し終えると、私は一言断って家を出た。
私の家は郊外の山の上にある一軒屋だ。周りにはちらほらとしか家がなく、その間のスペースは畑やら田んぼが埋めている。
もう日が落ちているので、ふもとの平地にある町の街灯の列が輝いているのが見える。
もう秋だ。月が蒼い。涼しくなった風がさらさらとススキを揺らし、私の髪を撫でる。
そして、ふもとの町の端っこに目をやると、夜の海にさかさまに突っ込んだロケットが月明かりに照らされているのが見えた。
私が…私達が生まれてきた理由について、ときどき考えることがある。
今みたいに夜、散歩をしていて、星を見上げたとき。
朽ちたロケットと、それに乗って来た人々を思うとき。
新しい命が、誕生したとき。
最近では、きっと寂しかったんだろう、と思うようになった。
寂しかったのだ、彼らは。
寂しくて寂しくて、誰かに近くに居てほしかったのだ。
彼らと一緒に話をして、一緒に笑う…そんな誰かに。
誰でもいいから、そんな誰かに。
でも、誰も居なかった。
だから、創った。
後ろから母が、もう寒いし遅いから戻ってらっしゃい、と呼ぶ声に気がついた。
私は素直にそれに従い、家に入る。
お風呂に入り、ベッドに入る。
明日の学校で話す話題のことをぼんやりと考えながら、私は眠りに落ちる。
私達は、彼らがしたように遊び、働き、愛し合う…ただそのために生まれた。
そして今も、そのようにしている。
彼らが去った今も、ずっと。
「すべてをぶち壊してしまった・・・人として未熟でした・・・」
エリカはA放送系のTV番組で涙ながらに謝罪した。
「いやーエリカ様お疲れ様でした」
エリカの専属マネージャーSが番組収録を終えたエリカにハンカチを持って駆け寄る。
「まったく、何で私がこんな芝居やんなきゃなんねえんだよ!ふざけてんじゃねえよ!」
先ほどのしおらしい謝罪会見とは打って変わり、エリカはSに荒れた口調で怒りをぶちまけた。
「仕方ありませんよ。好感度が下がるとCMの仕事がこなくなりますし、今回の件では大御所の和田さんも怒ってるようですから 」
「和田だと?それがどうした?そいつはそんなに偉いのか?CMは何本出てるんだ?言ってみろよ」
「和田さんは増毛のCM1本だけです」
「フン、1本じゃ増毛もできねえじゃねえか。たったの1本だけの奴が私にでかい口利くなんてちゃんちゃらおかしいよ。そうだ 、唐沢呼べよ!あいつに和田をしめさせよう」
「無理ですよ。和田さんは芸能界のドン。唐沢さんとて和田さんには頭があがりません」
「フン、唐沢もつかえねえ男だな。あっ、そうだ!私にはジャニーズの下僕どもがいたんだ。あいつらに命令してジャニーズ事務 所動かせば和田ぐらい潰せんだろ?」
「それも難しいと思います。和田さんの所属事務所のホリプロも大きな事務所でして、ジャニーズ事務所とてそう簡単に潰すこと はできないでしょう」
「くそが!どいつもこいつも使えねえ!お前も、もう明日から来なくていいぞ。マネージャーは違う奴に変えるからな」
「そ、そんなあ・・・」
「すべてをぶち壊してしまった・・・人として未熟でした・・・」
「はははは!おい、お前見てみろよ!沢尻が涙流して誤ってんぞ!これって超ウケねーか?」
エリカの謝罪会見を見てTVの前で女は大声をあげて笑った。女の名はまさみ。エリカ率いる沢尻会と抗争を続ける長澤会の長 である。
「これで奴も沢尻会も終わりだ。これから芸能界は、この長澤まさみと長澤会のものだ!ははははははは」
「まさみ様」
「ん?なんだ?」
「どうやら、相武会なるものを結成するという不穏な動きがあるようです」
「なんだと!?」
ある昼下がり、とある屋上で、
女の子と男の子が暇をもてあそんでいました
「チビィー、ひまぁー」
「そうですかー、私は暇ではありませんねぇー」
「そう言うなってー!」
「諦めが悪いですよ」
「ていうか、お前、寝てるだけじゃねぇか」
「眠いから暇ではありません」
そいう言うと女の子は、男の子を蹴って、違う場所に腰を下ろしました
「…俺の扱いひどくね?」
「何処がです?」
「え、もう、全てが?」
「良かったですね」
「なにがだよ!!」
女の子が、いろんな人と出会って、人のことを知っていく…そんなものがたり
※いろんな人と出会いますが、
こんなシリアスチックではありません。 Fin!!!
「訓練と同じだ」
遼は何度も自分にそう言い聞かせた。
バスに気を取られていた警備の何人かが彼の事を指差し、ゴム銃を構えた。
あれを食らうと動きが止まる。
先に撃たなければ。
訓練のときに叩き込まれた鉄則が彼を動かした。
ガリルを素早く肩の高さまで上げると、最初に照準が目標上を通過する瞬間に3連射した。
反動も、排莢と同時に頬を撫ぜる熱風も訓練と同じだったが、防弾チョッキを着けた警備をなぎ倒すだけのはずだった銃弾は、赤 い飛沫とともに男 の背を抜けた。
彼が持つガリルには、テフロン加工された徹甲弾が装填されていたのだ。
遼は動揺した、が、どうしようも無い。
とにかくバスの爆発までにターゲットを殺さなければ。
彼の最初の銃撃で数人の警備が倒れ、残りが車の陰に隠れた。
そうして出来た空間の隅に、彼は異星人を乗せているはずのバンを見つけた。
駆け寄りながら車両後部に弾倉の残り全部を連射し、マガジンを交換した。
車の下に炎が見え、やがてそれは小さな爆発音とともにバンの後ろ半分を包みこんだ。
熱波に目を細めながら彼は車の左側、スライドドアにガリルの銃口を向けて待った。
2007年10月07日 05:38 by 石瀬醒
「オレさ、ついに運命のヒトってやつに出会っちまったよ。」
興奮気味に語る友人。こいつがそういう話をするのはしょっちゅうなので、てきとーに相づちを打ちつつ話を聞く。
「彼女に比べたら今までの女達は、言っちゃなんだけどお子ちゃまだよ、がきんちょ。」
どうやら今度の一目惚れのお相手は年上らしい。これは少し珍しい。
「彼女はさ、すっげぇオトナで、ちょこん、って音がしそうなくらい小柄で、おしとやかで、つましくて、はにかむさまなんかも ぉ〜たまんなくかっわいぃの! ああ、何で今までその魅力に気付かなかったかなぁ。でもなぁ、きっとオレなんか相手にしてもらえ ないよなぁ。」
この様子だとまだ声をかけてもいないようだ。好みの女性には即接触し、当たって砕け散っているこいつらしからぬ弱気な態度だ 。
「あっ、あのヒトだ!」
ヤツの視線の先には、バス待ちをしている八十代くらいの老婆。それ以外に人影はない。
すっげぇオトナ。
ちょこん、と音がしそうなくらい小柄。
おしとやかでつましい。
恥じらうような微笑み。
まさか…
「お年寄りって、マジかわいくね?」
ヤツはその後、老人ホームに就職した。
黒い空から、雨が降っていた。
データの雨だ。
視界の隅までいっぱいに、連続した数値の連なりの線が、幾千と流れているのが見える。
それらはときにはまっすぐに、ときには渦巻きながら、私の立っているなめらかな丸い床の周りを流れ、はるか下、闇の中に吸収 されていく。
床は、人一人が生活するのに十分なスペースがある。そこには椅子が一つ。それ以外は、闇と、あとはデータの列だけ。
「ゼロ」
背後から突然呼びかけられて、私は驚いた。そして、その反応に少し笑う。
別に驚くことは無いのだ。ここで私に呼びかけられるのは、彼女しかいないのだから。
「ワンか」
振り向いて、床の真ん中で微笑む少女に手を振る。
ワンは月のバックアップシステムのAIだ。私と同じように、元は人間だった。
「遊びに来たよ」
手を振りながら、こちらに近づいてくる。
私もそちらに向かって歩きながら、彼女に窓を見せる。
「ああっ、お誕生日だね、ゼロ」
窓をのぞきこんで、ワンが顔を輝かせる。金髪の揺れる彼女は、真っ暗なこの空間において、まるで太陽のようだ。
「もしかして、プレゼントをくれるのかい?」
毎年、同じようなやりとりをしているが、彼女が何もくれなかったことは一度も無い。
「そうだね、じゃあ…これを」
ワンが手を目の前にかざすと、空気から、花束が結晶化した。
「ありがとう」
花束を受け取る。彼女の髪と同じ色の花束。これも所詮は映像なのだが…なぜか、ぬくもりを感じる。
「わあ、あー!」
バランスを失い向こうへ転げた。
必死で掴まる物を探して両手が泳いだ。
そして運よく掴まったのは、何とふくよかな脚だった。
女は右腕をフェンスに絡め、右足もフェンスに引っ掛けていた。
ケンジの命綱はなんと女の左脚だった。
彼は下を見た。
緑の斜面が崖のように続き、その先の山道は鈍く光る沼との境を作っている。
一本の大樹がまるで主役のように沼の手前に立っていた。
この急坂をこのまま転げ落ちたら大怪我をするだろう。
運が悪ければ命を落としかねない。
今度は不安気に上を見た。
青く眩しい空の下にロッジのフェンス。
ベランダの下でぶら下っているのだ。
高原の真夏の風までが意地悪にケンジの身を揺する。
女の水色の細かいギャザのプリーツスカートも揺れた。
「ああー、痛い!脚が……」
女が叫んだ。
「ひゃー、助けてえ!助けてよー!」
ケンジは情けない声で懇願した。「落ちるう!落ちるー!」
足にしがみ付く。
暑さで噴出す汗で手が滑る。
「痛い!痛い!」
と女は泣いた。
ケンジは泣声の主の顔を見上げた。
すると女は、裂けそうな股間を無理やり閉じようと足を振った。
「わー」
悲鳴の尾を引きながらケンジは落ちて行った。
両手を上空に突き上げて落ち始めたとき、今しがた見た女の顔をもう一度確認しようと、ケンジの目は見開いた。
それは淡い紅色の顔全体が透き通り、その奥の髪はモスグリーンの深みに揺れていた。
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