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物書きの会

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断片小説

短編小説よりさらに短い、というか、小説の体を成してない。
でも、今思いついたシーンを書きたい、そんなことってあるじゃないですか。

そんなあなたの、日の目を見ない物語の欠片を、チラ、と発表してみませんか?

それが面白そうだったら、ブログの小説の方も読んでみようか、と思われるかも知れませんよ!

2007年09月21日 16:46  by 石瀬醒

コメント一覧 252件中、81~90件表示

  • 「ぎゃああああああああッ!!!」

    ピンクの悪魔が目の前に迫った瞬間、
    奴の肉体から生成された恐ろしい唾液が体に触れた。

    たった一滴の唾液。

    しかし、その一滴が肉を蒸発させ、骨までを焼き尽くした。
    激痛が全身を駆け抜け、頭が真っ白に弾けた。

    迫ってくるピンクの口には、大量の唾液が満ちていた。

    駄目だ……。
    このピンクの悪魔に骨も残らず食われてしまう。
    もう助かるはずがない……。

    死にたくない……。
    こんなところで死にたくない……。

    この仕事が終わったら田舎に帰って親孝行をするって
    決めていたのに……、こんなところで……。

    誰か、誰か……、助けてください……。

    「アぎゃぁ嗚呼あァぁ嗚呼ぁァぁあァァァァッ!!!」

    凶悪な溶解力を持った唾液によって肉体が焼け焦げていく。
    だが、このまま生きたまま食われてしまうというのか。

    ピンクの口が閉ざされ、目の前から色は消えた。

    全身を唾液で浸食されながら深い闇へと飲まれていく。
    この先は胃酸の海に繋がっているはずだが、
    それまで自分の意識が残っていられる訳がない。

    唾液だけで全身を蝕む威力があるのだ。
    胃酸の力は想像するだけでも恐ろしい。

    だが、それだけ恐ろしいのなら、
    痛みも感じずに死ねるかもしれない。

    肉を焼かれ、骨を焦がされる痛みから解放されるなら、
    それでも構わない気がする……。

    あぁぁ……、早く終わってくれ……。

    ………………。
    …………。
    ……。

    「ちっ……、スカじゃねぇか……」

    薄れゆく意識の中で、そんな声を聞いた気がした……。

    ********************************************

    ↑カービィ様に食われる敵の心情www
    今日のブログのネタでした。

    http://cz750211.blog29.fc2.com/blog-entry-113.html

    2010年06月11日 23:49 by

  • (……終わったんだな。)

    全てが終わって、
    助けたアイツラはハッピーエンドで。
    笑顔で、泣きながら笑って、アイツらは帰って行った。

    でも。
    俺は考える。

    でも、じゃあ、
    このゴミゴミした東京に残された、自分は?

    疲れていた。
    もう、くたくただった。


    …そんなことを考えて満員電車に揺られていた俺に、
    目の前の席の女性が気づいて、
    席にスペースを作ってくれた。

    (あ……)

    どうぞ、の声もなく、
    ただ無言で、けれど目配せをして。

    女性はそのまま、
    ちょうど開いたドアの向こうへと去って行ってしまう。

    礼を言う隙さえなかった。


    …こんなにいっぱいの中で、
    ほんのわずかな、小さな小さな、優しさだ。

    けれどこの優しさにはきっと、
    満員で、争うように席のうまってしまう『東京』の電車でなければ
    俺はきっと、気づけなかった。


    「……」

    ありがとうございます。
    もう見えない背中に向けて小さくそう言うと、
    俺は少しだけ表情を緩めて、そこに座る。


    これだから、俺は東京が好きなんだ。
    そんなことを、考えながら。


    ***************

    すみません、掲載済みですが……。
    まさに断片だったので、書いちゃいました> <。

    スペースありがとうございました!!

    2010年05月10日 16:15 by 花舞小枝の春

  •  コーヒーを淹れて、しばらく経っていた。
    電話応対をしていて、すぐに飲めなかったのだ。
    俺は、恐る恐るスプーンの砂糖をカップに落とした。

     「貴方の落とした砂糖は、この金の砂糖ですか、それともこの銀の砂糖ですか」
    声と同時に、小さな女神がコーヒーカップからせり上がってきた。
    『金の砂糖』ってなんだよ。砂糖は物質名だろうが。
    などと思うが時既に遅しだ。
    「その、金の方です」と、一応逆らってみるが、「この、恥知らず!」の言葉とともに金銀の砂糖(どういう意味だか)はコーヒー に没し、俺が投入した砂糖だけは、ばっ、と投げ返された。
    「昔話と違うじゃないか」
    ぼやく声が届いたかどうか、小さな女神はすでにさざ波のみを残して褐色の表面に消えていた。

     上新庄架空生物研究所が、主に湖沼地帯の環境保全を目的に“湖の女神”の人工繁殖に成功してわずか2年。
    世界の主要な湖は、不法投棄の脅威から完全に解放された。
    昔話に出てくる“野生種”の女神は、嘘をついた強欲な者に対しては、その投入した物体を湖に引き込んでしまったが、遺伝子操作 によって品種改良された人工女神は、正直者に対して投げ入れられた物体の金バージョン、銀バージョンを付加するだけでなく、強欲 なものにも本来の投入物だけは投げ返す。
    観光名所や国定公園内の湖には、ゴミはもとより外国産の熱帯魚などの違法放流も不可能になった。
    が、一つだけ誤算があった。
    どこかの時点で人工女神に変異種が発生し、世界中の湖面に女神が広がったのだ。
    いや、女神の異常繁殖は湖沼のみに留まらず、プールや水溜り、風呂の水などにも及んだ。
    最近ではさらに繁殖力の強い亜種が生まれたらしく、コーヒーなどの飲料も、器に満たしてからほんの数分も放置すれば女神が住み 着くようになった。

    2010年05月10日 15:43 by 石瀬醒

  •  「結局、男前はモテる訳だよ」
    そんなありきたりな言葉に有沢が口を開く。
    「よく、男がモテる条件として金と見た目を並べるけど、マーケティング的に考えるとその二つを並べるのはおかしい」
    また始まった、と思いつつも滝野は黙って続きを待った。
    「男女のパートナー選びを商業活動と捉えた場合、どちらかが売り手でどちらかが買い手だ。
     売り手は買い手に魅力的なコンテンツを提供する。
     人間の提供できるコンテンツと言うのがどういうものかは、バラエティータレントの“売り”を考えてみてくれれば分かる。
     『話が面白い』『性格が誠実そうだ』『天然ボケだ』、どれも、金を払って手に入れる価値のある“コンテンツ”なんだ。
     そして、言うまでもなく、『顔が綺麗』とか『スタイルがいい』も、そうした“コンテンツ”の一つだ。主要な一つ、と言ってい い」
    「実際の付き合いには、『お金持ち』ってコンテンツもあるだろう?」
    「おっと、先走りなさんな」
    有沢が待ったをするように手をかざす。
    「金を持っているというのは確かに魅力だが、それは売り手としてじゃあない。買い手として、だ。
     魅力的なコンテンツを提供できる者を、金を持つものが手に入れる。これがマーケティング的に見た恋愛だ。
     従って、『男前』と『金持ち』は並べるべきものではない。一方は売り物で、他方は買い手の資質なんだ」
    「さみしい話だな…」
    「勿論、互いに互いのコンテンツに引かれた物々交換的カップルも存在するだろう。
     芸術家同士、競技者同士、趣味人同士の結びつきなんかはそうだね。
     君が他人のコンテンツを“買う”ことに抵抗があり、自分の顔が魅力的なコンテンツではないという自覚があるなら、自分のコン テンツを磨くしかないね。なに、珍しいことじゃない。モテたいからバンド始めるとか、お笑い芸人目指すとか、そういうことだ」
    「俺が提供できるコンテンツ、か…」
    「無ければ、買い手に回ることだな」
    滝野は、しばらく考えて
    「ツッコミが上手い」
    と言った。
    「せいぜい活発に合コンして、いいツッコミを探してる女子と出会うことだね」

    2010年05月05日 14:43 by 石瀬醒

  •  今日の空は晴天で、夜中だというのに、太陽の熱がこもったアスファルトが、うざい程全身を蒸していた。
     あまりの暑さに、鞄から赤いチェックのハンカチをとりだし、そっと額の汗を拭う。
     こんなことなら、もう夏用のブレザーに変えればよかったなぁ。
     そんな事を考えながらも、有希は歩き続けた。
     その間にも、額を押さえているハンカチが汗で濡れるのを感じる。

     そしてそのハンカチが完全に使い物になくなった頃には、真っ白い病院に辿り着いた。
     ついさっき「学校帰りでいいから病院に来てくれない?」という他校の彼氏からのお願いメールがきた。
     学校から帰るのは、部活と地理的問題のせいで家に帰るのは9時をまわっている。
     だから普段なら、「ごめん、明日の朝じゃダメ?」とメールを返しているところだ。
     しかし、その彼が一昨日の事故でずっと入院していて、昨日意識を取り戻したばかりだったとしたら、断れるはずもない。
     自分だって、早く彼に会いたいと思っているのだから。
     自動扉に近づくと無音でドアが開いて、そのまま有希は中へと入る。
     夜中のため人数は少ないが、たまたま看護師さんが通りかかったので、片山幸季を知っていますか、と尋ねると、場所を教えてく れた。

    「あら、そのハンカチ……」
     
     看護師さんは、ハンカチを指差した。
     汗を吸って濡れているハンカチを、有希はずっと右手で握ったままだった。
     さすがにこれを鞄の中に戻すのは気が引けたからだ。
     有希が吃驚して首をかしげると、看護師さんはくすりと笑った。

    「片山君も、ずっと握ってたわ、それ。お揃いなのね」
    「あの、それって……」
    「本当、すごいのよあの子。ずっと意識はなかったのに、ハンカチだけは絶対放さなかったんだか――」 

     看護師さんの言葉は大きな足音で遮られた。
     コツコツッと、その音はだんだんと早くなっていく。
     その時は、走り出す有希の靴音だけが、廊下中に響いていた。

    2010年05月04日 22:07 by 流星めぐみ


  • 「待って、待って蓮」
    「どした?」

    蓮は振り返ると優しく微笑んで私を見た。

    「…それ、頂戴」

    蓮の指に遊ばれている、四つ葉のクローバー。
    私はそれが欲しくてたまらなかった。

    「これ?」
    蓮が不思議な顔をして私を覗き込む。

    「そう、それ…」

    ね、四つ葉のクローバーって幸せになれるんでしょ?

    私は待ち切れず、蓮に手を伸ばした―――




    ―――幼き日のカンチガイ。
    クローバーは幸せを運んだりしない。

    そんなのただの、おまじない。
    幸せを手に出来ない人の、ただの気休め。

    2010年05月03日 21:26 by ふぁみ。

  •  眼の前を白い翅がよぎった。
     端に黒い斑点が見える。ひらり、と薄いそれはまるで白い貝殻のようであり、その貝殻にぽつんとある黒い丸が、白さを台無しに しているようでイラつく。
     柔らかな翅は菜の花の間を飛び交って、やがて身体を休めるようにして一つの葉に停まった。どうせなら子供と同じく、キャベツ でも食ってれば良いのに。と僕は何だか無性に白い翅が鬱陶しく思えて、その小さな虫を睨みつけた。
     菜の花の馨りが辺り一面に漂って、風に流れて僕の鼻にも届き、鮮やかな黄色と緑の中を白い翅を持つそれはたくさん飛んでいる 。白い翅にある黒い斑点が何故だか厭わしく感じられ、僕はほんのり油のような香ばしさを放つ甘い馨りに背を向けた。

     ――それは、まだ幼い孤児が、青虫の親がモンシロチョウだと知った日の事。

    2010年05月02日 23:02 by 久。

  • 「…あのお方が、私に言ってくれた」

    「…」

    「…お前を倒せば、私、解放される。実態実験、受けなくなる」

    「…」

    「人体実験、とっても、とても辛い。薬飲まされて、体に傷つけられて、色んな所にコードさされて、戦わされて」

    「…」

    「私、ずーっとそれに耐えた。だからあの人、チャンスくれた」

    「…」

    「幼馴染だけど、私、もう人体実験するの、嫌」

    「…」

    「どうして、私置いていった?」

    「…」

    「…私、お前殺す。それで自由になる」

    「…」

    「―――だからね、死んで」



    その声が、震えていたのに初めて気が付いたのは

    彼女が、泣きながら腕の中で旅立って行った、その瞬間の事だった


    * * * * * * * * * * * 

    何気にシリアス系を書きたくなって書きました
    小説の一部に使いたいと思っていたりしますw

    2010年04月26日 22:17 by

  • 長かったので上下に分けました。
    続きはこの下のコメにあります。

    ☆☆☆

    「やっと来ましたか・・・・・」

    くるりとセレネは振り返った。
    今日は珍しく人形越しの対面ではなく
    セレネ自身がそこにいる。

    ゼロのときから代わりの無い真っ白で猫っ毛の髪。
    満月模様の銀の瞳はしっかりとレフィルを見つめていた。

    レフィルもセネレを見つめ返す。

    「ああ・・・・・・。僕もやっと決心が付いたからな。」

    コツン・・・・

    やけに靴音が大聖堂内に反響する。
    セネレへと歩み寄るレフィル。
    セレネもまたレフィルへと近づくため
    その高い階段をゆっくりと下りてくる。

    二人は元々一人だった。
    不死の化け物【アンチノイド】のなかでも最高傑作と呼ばれた
    ゼロだった二人。

    その距離が頃良いころになると
    お互い武器を取り出して飛躍した。

    キィイイイイン!!!

    槍と傘が凄まじい音を立てる。
    間を入れずにセレネが鎖で攻撃を仕掛けるが
    レフィルはそれを尽く交わす。

    だが、それも計算のうちだったのか
    彼が操っていたドールがレフィルを襲う。

    「・・・っ!二人とも!止めてくださいッ!!!」

    見ていられなかった。
    二人とも大切だったから・・・・

    スフィルが止める様に叫んでも二人は一向に止めようとはしない。

    「二人ともやめっ・・・・!!
     ズピドゥラさんなんで止めるんですか?放してください!」
    「スフィル。あいつ等を止めないでやってくれ。
     今二人は、お互いのコアクリスタルを巡って闘っている。」

    コアクリスタル。
    それはアンチノイドの心臓の役割を果たすもの。
    元は一つだったコアクリスタルは二つに分かれ
    二つのカラダ・・・レフィルとセレネを作り出した。

    その力はゼロだった頃の半分も出せなくて・・・
    でも、2000年くらい生きている彼ら。
    お互い、コアクリスタルを巡って闘おうと思えば何時だって出来たはず。

    2010年04月25日 18:06 by



  • 「何も今じゃ無くったっていいじゃないですか!
     私はっ・・・私は二人とも死んで欲しくないですッ!!」
    「決意を無駄にしないでやって欲しい。
     あいつ達は、珀璃を倒すための力が・・・召喚師であるお前を
     守るために、ゼロと同等の力が必要だと・・・そう判断したんだ。」
    「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
    「それに、コアを取られれば、もう動けなくなるだろうが・・・
     取り込んだ方も今の人格を保てると言うわけでもない。」
    「!?それって・・・・レフィルがレフィルでなくなるって事ですか?」

    静かにズピドゥラは頷いた。
    涙目になってみれば、二人はまだ闘っている。
    お互いのコアを巡って・・・・・・

    「お前に勝ち目はありませんよ。レフィル。」
    「まさか。お前にスフィルのお守りが出来るはずなど無いだろう?」

    神経を集中させドールで攻撃していくセレネ。
    対してレフィルは扇傘を使う。
    扇傘術は内臓にダメージを与える術。
    人形にそれは無く、彼と同じく電子で出来ているセレネには
    効果はまったく無い。

    短剣を投げつけて攻撃するものも相手は人形
    動き続けて、そして・・・・・・

    「!?」

    ついに囲まれた。

    「あきらめて下さい。その人形にはマザーコンピューターのような
     制御装置。そして・・・体を壊すための破壊プログラムが
     組み込まれています。」
    「・・・・くっ。」
    「スフィルの前で貴方を破壊したくない。だから・・・・」

    セレネが人形達に押さえつけられたレフィルの前に現れ
    その額同士をあわせる。

    「貴方の体・・・記憶ごと貰います」

    2010年04月25日 18:05 by

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