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物書きの会

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リレー小説 二周目

『リレーやらない?』の設定及び決定に基づいたリレー小説です。
二周目で完結予定です。

2008年10月17日 22:00  by 

コメント一覧 31件中、11~20件表示

  • 石瀬醒


    そこは死後の魂が行く場所でもなければ、神の居所でも無い。
    そこに我々の考えるような「空間」は無いし、この世界にあるような「物質」も無い。
    ただ、エネルギーの脈動だけがあり、その中には波動生物とでも呼ぶべき存在がいる。
    その生物が、ごくたまに、我々人間の生命活動の波動に引き寄せられる事がある。
    いや、ごく稀に、次元の壁を越えて異世界の波動生物を呼び寄せる脈動を持つ人間が現れる、と言うべきか。
    そして、異次元の生物をその身に纏った異能の者を我々は、「仙人」とも「超能力者」とも呼ぶのじゃ。
    昭和50年、学会で全く相手にされていなかったワシの研究に目を留めたのが、当時の神凪祈財閥の長、神凪祈晃雲じゃった。
    ワシ等は全く秘密裏にこの研究を推し進めた。
    潤沢な資金を得て研究は飛躍的に進み、やがて、ワシは孫の春樹という「人工仙」を創り出した。
    波動生物を惹き寄せる生体電位の脈動、それを作り出す遺伝情報を、ワシは自らの孫の体に注入したのじゃ。
    しかし、波動生物は、身に纏うだけでは何の力も生み出さぬ。それと交流し、意のままに操るには、武道の世界で“気”と呼ばれ る体内感覚を養わねばならぬ。
    通常何年もの修行が必要なそのステップを飛ばすため、ワシは自らの記憶と意識の一部を孫の脳に移植した。
    ワシの欠片が覚醒して異界の力を振るう時には、春樹の意識は眠っていた。
    様々な実験の結果、兵器としての「ハルキ」の圧倒的な力が明らかとなった。
    それは、究極の人間兵器じゃった。

     ハルキの成功は、「虚数空間」研究の最終成果と思えた。
    「人工仙」の軍団は、世界の軍事バランスをも容易く変える力を持つ。
    しかし、晃雲はまだその先に行こうとした。
    彼は、波動生物を拘束する場を生み出すバイオ素材を開発させ、それを使って一種の生き人形を作った。
    そしてそれに、異界の波動生物を一匹を封じ込めたのじゃ。
    その時、波動生物一匹をこの世界に導くのに、通路となった巫女が3人、犠牲になったと聞く。
     初めて空間に固定され、五感を得たその生き物に、晃雲は食べることを教え、遊ぶことを教え、話すことを教えた。
    彼はそれを娘として育て、それはやがて、美しい人間の少女へと成長した」
    「まさか…」
    思わず、怜治の口から声が漏れた。
    「そうじゃ、それが神凪祈亜季じゃ」

    2008年12月04日 10:32 by 石瀬醒

  • 石瀬醒


     「ほう、分かりましたか」
    「分かるとも。顔は変えられても、技は変えられん。
     と言うことは、お前がこれを始めたんだな」
    慶一郎と呼ばれた男は、まっすぐ春樹の顔を見つめ返した。
    「始めたのはあなただ。私はそれを続けようとしているだけ」
    「ふ、確かにそうだ。
     ワシは愚かだった。愚か過ぎた…」
    暫しの沈黙の後、少年が語り始めた。
    しかしその口調は、老人のそれだった。

     「昭和17年、当時反逆罪で投獄されていた樋口王仁丸という男の神通力、今で言う超能力を計測する調査が、軍の研究として 極秘裏に行われた。
     今では到底出来ぬような、人権無視の実験じゃ。イカサマが出来ぬように樋口を素裸にして、何度も何度もあらゆる機器で計測 をした。
    結果、驚くべきデータが得られた。
    ごくわずかだが、どうしても説明のつかぬ電磁波の出力があったのじゃ。
    だが、その実験結果は学会に全く無視された。
    『オカルト』の一言で一蹴されたのじゃ。
    また、軍部もその出力の微細さに呆れ果てた。
    蚊一匹殺せぬほどの電波が出ていようが、何の利用価値も無い、と判断されたのだ。
     しかし、極微少であろうが、エネルギー保存則に綻びが見つかったとしたら、それは世紀の大発見じゃ。
    当時学生であったワシは、終戦後もなおその謎のエネルギーの出所を探り続けた。
    周囲からは異端、いや、狂人と罵られつつ、ワシは研究に没頭した。
    20年以上、孤独な研究が続いた。
    そして、見つけたのじゃ。
     古来から「隠世(かくりよ)」とも「黄泉」とも言われた、この世ならざる世界。
    我々の住む世界と重なりながら、目に見えず手に触れぬ世界。
    それがあのエネルギーの源泉であった。
    この世界の物理法則の埒外にありながらも、人間の精神と不思議なつながりを持つその世界の物理法則を、ワシは解き明かした。
    そして、あらゆる迷信にまみれたその平行宇宙を、ワシは「虚数空間」と名付けた。

    2008年12月04日 10:26 by 石瀬醒

  • 石瀬醒


     男の歩みは緩やかだった。
    いや、緩やかに見えた。
    それほどスムーズに男は距離を詰めた。
    吹き飛ばされ、壁に打ち付けられた春樹との距離を。

     「待った!」
    声に、男が止まった。
    声の主は怜治。まるで自分達が居ないかのように振る舞い、ただ春樹だけを追う男の背に、怜治が呼びかけたのだ。

     男が肩越しに振り返る。無言だ。
    「俺達は、死ぬ。違うか?」
    一種意表を突く問いに、男は興味を引かれたようだった。
    「そうだ」
    「その化け物みたいな春樹を一撃でノしちまう相手に、俺は勝てるとは思わねえ。
     だが、見たところあんたは春樹と違って、ちゃんとした大人だ」
    男は、怜治の世辞に片眉を上げて応える。
    「できれば、解説をお願いしたい」
    「解説。何のだね」
    「俺はただガキ1人を攫ってくれ、と依頼を受けた。これはまあ、今となっては多分に陽動に利用された臭いんだが…。
     そのうち、敵も味方もそこのボーズを…巻き添えで俺たちをも…襲い始めた。と思ったら、今度はそのボーズが何を焦ったかい きなり敵の本拠に逆襲をかけると言う。…この襲撃の意味が解からねぇ…。
     と、思ったらあんたは意外でもない様子で俺達に立ち塞がる。まるで、この急襲が必然ででもあるかのように…」
    「…で、論点は何だね」
    学生と話す大学教授のような穏やかな口調で男が訊き返す。
    「論点は、訳の解らんまま死にたくねぇ、ってことさ」
    男は、ふふん、と鼻で笑った。
    「いいだろう。これは長い長い物語なのだが、…今日やっとけりがつく。
     最後に全てを振り返っておくのもよかろう。
     ただ…」
    壁際の春樹を振り返って言葉を継ぐ。
    「昔話はあなたにしていただきたい」
    “専務”と呼ばれる男に真正面から指を差されて、春樹はただきょとんとした顔をしている。
    「とぼけないでいただきたい。そこに居るんでしょう?ご老人。
     如月厳冬(げんとう)!」

     春樹の顔が、ゆっくりと笑みに崩れた。
    「久しぶりだな、神凪祈慶一郎」
    白羽と怜治は顔を見合わせた。
    こいつらは一体誰と誰なんだ?

    2008年12月04日 10:24 by 石瀬醒

  • 弥生

     だが、次に出てきた代物は流石に冷静さを奪われた。
     1メートルを越す長身のライフルに肩に担がれた大型の火器。対戦車ライフルに対戦車ロケット砲、通称RPG-7。あんなも のを食らったら一発で粉々になってしまう。
     「……まさか人間相手に対戦車武装持ち出すとはな。伏せてろ白羽!」
     白羽が身を隠して伏せたのを確認するのと、春樹が恐れを微塵も見せず彼らに肉薄したのは、ほぼ同時だった。怜治がロケット 砲だけでも防ごうと相手の腕を狙ったときには、既に勝負がついていた。
     「さ、行きますよ」
     こいつには、勝てない。機会を待つ。その機会は、すぐにでも来る。
     やがて、最上階に到着すると、そこには高級感漂うスーツを着た紳士が一人、立っていた。
     「いや、見事見事。賛辞と同時に、感謝するよ。私は君のデータがぜひ欲しいと思っていた」
     「そうですか。でも、簡単に渡すつもりもありませんよ。早いところ本性を現したらどうです?」
     「やれやれ。せっかちだね、君は。それに自分を過大評価する節があるようだ……少し上には上がいるということを、教えてあ げよう」
     そう、優しい声が聞こえた……聞こえた直後、専務は春樹の眼前に現れ、掌底で春樹を吹き飛ばしていた。

    2008年11月29日 15:24 by

  • 弥生

     手にした銃弾を、投げる。警備の肩が、一瞬で砕けた。
     手にしたものを投げる。人間が考えうる、最も単純で原始的な武器だ。普通ならそんなもので決定的なダメージを与えることは 難しいが、洗練された命中精度、投擲の技術はそれを可能にする。確かに、怜治は『武器』は持っていなかった。だが、もし『身の回 りにあるものすべて』が武器になりえるとしたら?
     さあ、考えろ。春樹に『思考』させることがこの技を見せた本来の狙いだ。
     一瞬で多くの敵をなぎ倒し、最も効率的に進んでいく。それは彼が複数の事項を同時に考える『マルチタスキング』を行ってい る証拠でもある。
     春樹の弱点があるとすればここだ。マルチタスクは多勢に有効であり、汎用性の高い能力だが『思考する事柄』が多ければ多い ほどそれぞれの精度は低下する。今、春樹は『怜治が敵に回った場合』も想定していたはず。だがその際武器は奪った銃器か体術を想 定していたはずだ。そこに『投擲』と言う要素を加えれば、闘い方を考え直す必要がある。彼の思考の幅はおそらく『専務』に接触し た際最も広くなる。そこで自分たちのことまで思考が回らなくなった時に、逆転、逃げの一手を打つ。
     春樹には下手に仕掛ける方が危険だ。真のプロは、引き際を知っている。必要以上の損害が出ないうちに、さっさと退く。
     この時、怜治はある意味において春樹よりも冷静であった。

    2008年11月29日 15:02 by

  • 弥生

     人間離れした能力を見せ付ける春樹を援護しつつ、怜治は考えていた。どうすればこの状況を打破できるか。
     依頼主に裏切られて報復する、ということはあったが自分から依頼主を裏切るような真似は今までした事が無い。見限って現場 を放棄する、と言うのなら話は違うが。
     今回の依頼は初めてのケースだ。予期せぬ経緯から依頼主に牙剥くことになり、自身も軽くはない怪我をした。これだけで相当 な『損害』である。全くもってついてない。更に忌々しいことに、この施設の警備から使っていたアサルトライフルがジャムを起こす 。
     「ったく! だから銃を実戦で使うのは嫌いなんだ!」
    ジャム、つまり排莢トラブル自体は大した故障ではない。すぐに直せる。だが、そのタイムラグが緊迫した戦場ほど危険なものに なるのだ。
     しかし、現状に何を言っても、起こってしまった以上は仕方ないので怜治は思考する。いかにすればこれ以上の損をしなくて済 むか。これはただの戦闘でなく、生活がかかったビジネスなのだ。
     「怜治」
     白羽が声をかけてくる。その手の中には怜治が拾ってくるよう頼んだものがある。それは、撃ち終わった銃弾や、飛び散ったコ ンクリート片。
     「悪いな。どれ……ちっ、やっぱりホローポイントか。えげつないもの使いやがって」
     ホローポイント弾。弾頭部分が柔らかく作られており、命中するとマッシュルーム状に潰れて傷口を抉る、極めて殺傷力の高い 弾丸だ。
     「そんなもの、どうするの?」
     「こうするんだよ!」

    2008年11月29日 14:45 by

  • アルフ
    六部

     同じとき、ツインタワー第一ビル入り口。
     素早い動きでバリケードをくみ上げたガードマン達は必死の抵抗を続けていた。その内の一人が無線を使って状況を上に伝える 。
    「こちらゲート前!敵の数は3!こちらの損害はほぼ壊滅!ダメですッ!増援を!ぞうえッ!?」
     その声はバリケードに打ち込まれたロケット弾の爆風にかき消された。
     そしてそれを放った張本人、怜治は横で呆けた顔をしている白羽に向かってぼそりと呟く。
    「これで13度目の確認だけど、・・・あいつ本当に人間か?」
    「・・・本人はそういってた。けど、多分、違う」
     殆ど呆れ顔の二人の目線の先、春樹が大太刀を片手に単身切込みをかけていた。ちなみにその太刀の持ち主は、とある事情によ りここにはいない 。
     “敵の必死の弾幕を易々とかわし、装填を合間に距離を詰めて太刀を一振り。”
     “背面から打ち込まれたグレネード弾を、まるで背中の目で見ているかのように回避。”
     “怜治の撃ち込んだロケット弾によって崩されたバリケード一部に飛び込み、ものの数秒でゲート前を制圧。”
     怜治のナイフも白羽の魔術も出番なしの恐ろしい程の独壇場だった。
    「俺達やっぱりいらなかったんじゃないか?」
    「・・・(コクコクコクコク)」
    「いえいえ、そんなことないですよ。きついのはこれからです」
     戦闘を終えた春樹の元へ行ってそう言うと、春樹に笑顔で否定された。
    「今回のターゲット、通称『専務』はこの215階建てビルの最上階の執務室にいるはずです。当然ですがエレベーターを使うわ けにはいきません ので階段で目指しましょう」
    「・・・なぁやっぱりここで待ってるって選択肢はないのか?」
    「ありません。骸として転がって待つというなら許可しますよ」
    「・・・いや、遠慮しておくよ」

    ―改めて思う。やっぱりこんなことをサラリと言ってのけるこいつは人間じゃない・・・。

     心底あきれ返る怜治の心など置き去りに、春樹はさっさと奥へと進み、非常階段のドアを開いた。
    「それではお二方」
     ドアの奥には、螺旋階段のエンドレス。
    「世界最高峰の摩天楼へとご案内です」

    2008年11月03日 21:38 by

  • アルフ
    五部

     世界の政治、経済、軍事、その全てを牛耳る超大国、神聖帝国大和。
     その中枢、帝都セントラルの経済地区。数百メートル級の高層ビル群の中で一際目を引くツインタワーの最上階に、その男はい た。
    「そうか、沖田と慶一郎の信号は途絶えたか」
     その髪は白髪、しかし顔はまるで20のような若々しさ。
    「はい。しかし慶一郎の自爆コードは、情報によるとあちらには届いていないようです。トラブルでしょうか」
     ピッチリとしたパンツスーツを着込んだ女性秘書の目の前、その男は一糸まとわぬ姿で、巨大な水槽の中で不気味に微笑む。
    「しょせんはあちらの鉄屑よ。あれさえ無事なら私は構わん」
    「そちらでしたら、ご安心を。島を脱出していからの足取りは掴めていませんが、とりあえず無事なのは確かです」
    「ふっ、足取りなど分かっておるわ」
     水槽を満たす黄緑色の液の中でも、その男の声は不思議とはっきりと室内に響いた。
    「クククッ。もう、ここに来ておる」
     その声を合図にするかのように、遥か下で響く爆発音。そして、それからすぐにドアがノックされ、スーツ姿の男が部屋に入っ てきた。
    「失礼します。ツインタワー第一ビルに侵入者です。敵の正体はつかめておりませんが、恐らくはあの4人かと。・・・こちらも 迎え撃ちますか? 」
    「よい、襲われたのはあちら側。こちらの入り口を封鎖し、そのまま静観するが良い」
     スーツの男は了解して退出し、再び部屋には秘書と男が残される。
    「よろしかったのですか?おそらく彼らの次の狙いは、こちらかと」
    「よいよい。その時はその時じゃ。ゆるりと料理すればよい。それよりも・・・」
     男は水槽の中を優雅に泳いで窓際に移動する。
    「今は宴を楽しもうぞ」


    2008年11月03日 21:37 by

  • アルフ
    四部

    「僕達の新たな任務は土御門一族の組織の壊滅です。つまりあなた方の雇い主ということですね」
    「ああ。雇い主の組織を潰すってのはちっと心苦しいがね」
    「現在の状況を説明します。簡単に申し上げますと、土御門一族には二つの派閥があって、僕達はとりあえずその片方を叩きます 。ちなみに僕と亜 季の元師範、慶一郎は恐らくそちら側の者だったと思われます。僕や亜季の話、その他あなた方が疑問に思うこと は多々あるでしょうが、とりあえずは ここまででご勘弁を」
    「おっけい。“無駄な詮索はするな”、そういうことだな。それでいいか、白羽」
    「・・・わかった」
    「話が早くて助かります。それではまず、この島を脱出したいと思います。脱出は出来る限り早くおこないたいのですが、・・・ それはあちらさん 次第でしょう」
     そう言って、春樹はおもむろに亜季の大太刀を手に取った。
    「おい、あちらさんって誰のことだ?」
    「あぁ、すみません。いい忘れてましたね」
     2m近い大太刀を遠心力も使わずにスルリト引き抜き、春樹はまるで何でもないことかのようにポツリと言った。
    「まったく、誰が呼んだのやら・・・」
     と、突然周囲の木々がざわめきだし、辺りを包み込むの闇の中で何かがうごめく物音が不気味に響く。
    「来るんですよ。敵の増援が」
    「そう言うことは早く言え!!」
     油断していた怜治と白羽が異変に対処するよりも早く、黒の戦闘服に身を包んだ兵士達が三人を素早く包囲した。その数およそ 十数人。
     そして、包囲された三人は背中合わせに立ち上がり、それぞれの武器を構えた。
    「弾層と心の準備はいいですか?」
     春樹の顔からふっと笑顔が消え、底冷えするほど無感情な顔になる。
    「それでは・・・戦闘開始です」

    2008年11月03日 21:37 by

  • アルフ
    三部

    「はっ?」
     覚醒前のボンヤリとした顔とは違う、子供の様な無邪気な笑顔を浮かべた春樹の口からとんでもない言葉が飛び出した。その言 葉を聞いた怜治と 白羽の驚きをよそに、春樹は淡々と続ける。
    「これからちょっと本土の方に戻り、とある組織を壊滅させようと思います。あなた方にはそのお手伝いをしていただきたいので す。出発は今夜。 森を抜けてそのまま本部へと直行します」
    「おいおい、そりゃあちょっと・・・ッ」
     怜治が不満を述べようとしたとき、目にも止まらぬ速さでその喉元に刀が突きつけられた。
    「申し訳ありませんが、ここまで知ってしまったあなた方に拒否権はありません。もちろん全てが終わった暁には、今までどおり の殺し屋家業に戻 っていただいて構いません」
     変わらぬ笑顔のまま、春樹は白鞘の刀を突きつけながら言った。
    「・・・ははっ。おい、白羽。やっぱりこいつら信用できないな」
    「・・・(コクコク)」
    「もう一度聞きます。本部までお付き合いいただけますか?」
     最終宣告ともとれるその問いに怜治と白羽がしぶしぶ承諾の意を示すと、春樹は満足そうな顔をして刀をひいた。そして、その まま話を本題に移 した。

    2008年11月03日 21:36 by

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